高齢者施設や介護施設に入居する際に求められる身元保証人。身元保証人は本人の判断能力がしっかりとしていることを前提に支援を行いますが、入居時に既に判断能力が低下していたらどうすればよいでしょう?判断能力が低下した方を支援する「後見人」は身元保証人になれるのでしょうか?
こちらでは、身元保証と成年後見について確認していきましょう。
後見人がいれば身元保証人は不要?
結論から言えば、成年後見人が就いていたとしても、身元保証人は別途必要です。成年後見人が客観的な第三者として本人を法的に代理する法定代理人であるのに対し、身元保証人はご本人と同一の立場で責任を負う連帯保証人となるからです。
また、実務上、後見人の代理権は原則として本人の死亡とともに終了してしまうため、後見人では身元保証人に求められるご逝去後の身元引受や残置物の撤去に対応することはできません。
こうした理由から、後見人が身元保証人を務めることは厳密には職務権限外行為にあたります。とはいえ、成年後見人がわざわざ身元保証人を探す負担も大きく、また施設としても早急に身元保証人を用意してほしいというニーズもあり、後見人を身元保証人として受け入れてしまっている施設も存在するのが実情です。
入居後に判断能力が低下したら必ず後見人が必要?
上述のように、後見人が就いている場合でも、身元保証人を別途手配する必要がありますが、一方で、すでに施設入居中の方が認知症等により判断能力が低下してしまった場合、別途後見人が必要になるのでしょうか?
2024年に内閣官房から発表された報告書によれば、日本全国で約440万人の認知症患者の方がいるとされていますが、一方で、成年後見の申立がなされるのは年間約4万件しかなく、さらにそのなかで認知症を理由とする後見の申立は6割に過ぎません。
つまり、認知症等により判断能力が低下してしまった方のうち、実際に成年後見人が支援に関わっているのはごく一部に過ぎないことが分かります。
判断能力が低下してしまっても後見人が就いていないケースは、家族により十分に支援がなされている場合が多いのですが、施設入居中の方であっても、身元保証人や施設のスタッフの適切な関与により安心の日常生活を送れているのであれば、新規の契約などが無い限り、後見の申立をすぐには行わなくても大丈夫な場合もあるでしょう。
つまり、施設入居後に判断能力が低下してしまったからと言って、すぐに後見人が必要となるわけではありません。基本的には、身元保証人が適切に関与するなかで、後見の申立を行うタイミングを見極めていくことになりますので、身元保証人には、当然ながらご本人に適切に関与できること、そして後見申立のタイミングを見極める専門的な判断が求められます。
いきいきライフ協会アンド ユーでは、身元保証契約の締結にあたって、任意後見契約も作成をしておりますが、身元保証人として適切に関与するなかで、後見開始の時期はきちんと判断をしております。
いきいきライフ協会アンド ユーはお客様がお元気なうちも、判断能力が低下してからも、しっかりとサポートさせていただくことをお約束しておりますので、安心してお任せください。